お尻や肛門が痛い・しこりがある
お尻や肛門が痛い、あるいは痛いというほどではないが「しこり」ができているということはありませんか?
そのような場合、がんや肛門ポリープ、いぼ痔ではないかと心配し、当院を受診される方もいらっしゃいます。たしかに、お尻や肛門の痛み・しこりは、放置すると悪化する場合があり、安易な自己判断は禁物です。早めに当院にご相談ください。
お尻や肛門が痛くなる原因と考えられる疾患
肛門の皮膚がある部位には感覚神経が走っているのに対し、直腸の粘膜にはそのような神経がありません。このことから、痛みがある場合、まずは皮膚側の病変の有無を確認します。
もっとも、痛みを含めて症状をどのように感じるかは人それぞれです。当院では、大腸や肛門を十分に観察し、適切な検査を提案いたします。
腫れを伴う痛み
血栓性外痔核
一種の血豆である血栓が形成されるいぼ痔です。血豆が小さければ痛みも少ないのに対し、大豆ほどの大きさまで肥大化すると、急激に痛みが増大します。
血栓性外痔核を治療するには、局部に麻酔をかけて血栓を切除するのが一般的です。切除すれば、痔核は小さくなって消失します。
内痔核嵌頓
歯状線よりも直腸側にできるいぼ痔すなわち内痔核で、大きさは1~8cmとまちまちです。内痔核嵌頓では、肛門の外にある静脈叢と肛門内にある静脈叢の双方の血管に血液の塊ができ、腫れ上がります。この塊が肛門外に飛び出すと括約筋で締め付けられてうっ血し、腫れがさらにひどくなる悪循環です。その際、内痔核が大きくなればなるほど、痛みも増大します。
肛門周囲膿瘍
肛門の周辺部位に膿が溜まる疾患です。肛門の皮膚と直腸粘膜との境界にある歯状線には、肛門陰窩と呼ばれる小さな穴が10個ほどあります。この穴に便が入り込むなどの理由で細菌感染が起こり、化膿した状態が肛門周囲膿瘍です。
肛門周囲膿瘍は、免疫力の低下や軟便または下痢が認められるときに生じやすい疾患です。痛みや腫れの度合いは、膿の量にも左右されます。
なお、肛門周囲膿瘍の約3~5割では、痔ろうになるとされています。
粉瘤
皮膚の下の組織が袋状に拡大し、皮脂や角質が溜まって「こぶ」のようになった状態です。身体のどこにでも発生しますが、お尻は粉瘤ができやすい場所の1つです。お尻にできると、椅子に腰掛けたりして圧力が加わったときに、痛みを感じやすくなります。
腫れを伴わない痛み
切れ痔(裂肛)
腫れているわけでもないのに、お尻に痛みがある場合、切れ痔を疑います。
切れ痔では、排便時に便が硬いと特に痛みが強くなり、トイレットペーパーにも血液がわずかに付着します。また、排便後に痛みがおさまらない場合が少なくありません。
切れ痔だけでなく、排便時に脱出する肛門ポリープが形成されたり、肛門の皮膚が膨脹していぼが生じたりする(見張りいぼ)場合もあります。
肛門の筋肉痛
長期間緊張した状態におかれると、肛門の筋肉(肛門挙筋)にも筋肉痛が生じる場合があります。
主な原因は、車の運転やデスクワークを長時間続けることなどです。
お尻や肛門が痛い場合には当院までご相談ください
お尻や肛門が痛いと、着席時や排便時など、日々の生活の中にある何気ない動作にも苦痛を感じることになり得ます。腫れの有無、痛みが出るタイミング、痛みの度合いなどの症状は人それぞれですが、なかには疾患が原因で痛みが生じている場合もあります。
健康面を含めて生活の質を維持するためには、お尻や肛門の痛み、あるいは腫れを自覚したときには、早めに当院にご相談ください。