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肛門外科(痔の日帰り手術)

肛門外来

恥ずかしがらずにご相談ください

恥ずかしがらずにご相談ください

肛門外科で診療する主な疾患は、痔核(イボ痔)、裂肛(切れ痔)、痔瘻(じろう)などです。症状としては出血、痛み、肛門の痒み、残便感などがあります。
治療には、保存的療法や手術療法、およびその中間的な治療法などがあり、正確な診断をつけたうえで、最も適切な方法を選択します。
場所が場所なだけに、日常生活に支障があるにもかかわらず、なかなか相談に来られずに、ひとりで悩んでいる方も少なくないと思います。しかし、直腸がん、肛門がんなど、重篤な病気が隠れていることもありますので、恥ずかしがらずにご相談ください。

約80%は手術無しで治る

当クリニックでは、肛門の専門的な治療を行います。多くの肛門専門の医師は大腸に関しても長けており、大腸の検査も施行します。それは肛門出血、下腹部痛、便秘などの症状から痔と思っていた人が、実は大腸がんだったということも少なくないからです。肛門だけでなく、大腸も含めた下部消化管を正確に丁寧に診察し、最善の治療を行います。痔疾患の患者様の約80%は薬による治療や生活習慣、排便習慣の改善で治ります。しかし、薬では根治が難しいと考えられる場合は、手術などによる治療が必要となります。

日帰り手術・短期入院手術 ※本院:寺田病院

日帰り手術・短期入院手術 ※本院:寺田病院

当クリニックでは、日帰り手術・短期入院手術を行えませんが、本院である寺田病院で、適応の方には日帰り手術や短期入院手術(術後1~6泊入院)を行っております。日帰り手術は、基本的に局所麻酔および仙骨麻酔にて施行の手術に限ります。
術後の排便に対する不安を取り除くのが入院の大きな目的ですので、日帰り手術を希望される患者様には、術後の排便の注意点ほか、痛みや合併症が起きたときの対処方法などに関する説明をきちんとさせていただきます。

女性医師による女性外来

女性外来とは、ここでは「女性医師による、女性患者様のための専用外来」を意味します。多くの診療科においてもその必要性が叫ばれ、少しずつではありますが、女性専用外来を設置している施設が増えてきました。
特に「肛門科」、「大腸検査」となると、どうしても男性医師だと恥ずかしいということで受診を敬遠してしまい、症状の悪化をたどる方が少なくありません。そんな女性の皆様の悩みを解決するよう、当クリニックでは「女性専用外来」を開設しておりますので、女性医師による診察をご希望の場合は、受付にてお申し出ください。

肛門外科で診療する主な疾患

痔核(イボ痔)

痔のなかで最も多いのが痔核、いわゆるイボ痔です。肛門付近の血流が悪くなって鬱血し、さらに静脈がこぶ状に膨らんだものが痔核です。
症状は排便時に出血したり、肛門の周りにイボのようなものができたりします。発生する場所により、内痔核と外痔核に分けられます。

痔核(イボ痔)

痔核(イボ痔)について

内痔核

内痔核は、肛門の歯状線(直腸と肛門の境)より内側に生じた痔核であり、ほとんど痛みを感じること無く進行します(初期は出血する程度)。
進行して痔核が大きくなると、脱出(脱肛)するようになります。脱出も初めのうちは指で押し込めば戻りますが、進行すると戻らなくなり、痛みを伴うこともあります。

内痔核についての動画

内痔核の分類(「ゴリガー分類」による)
  • 1度:排便時に肛門管内に膨らんでくる程度の痔核
  • 2度:排便時に肛門外に脱出するが、排便が済めば自然に戻る程度の痔核
  • 3度:排便時に脱出し、指で押し込まないと戻らない痔核
  • 4度:常に肛門外に脱出している痔核

※「3度」以上は通常、手術の適応になります。

内痔核の分類

※おしりからの出血により気づくケースが多い

内痔核の治療

内痔核の治療には保存的療法と手術療法があり、その中間に硬化療法やゴム輪結紮(けっさつ)法があります。どの方法を選ぶかについては、患者様の症状や社会的な状況を考慮に入れて、総合的に判断します。

保存的療法

便秘の改善や排便時の長時間のいきみを避けて、規則正しい排便習慣をつけることが重要です。症状により経口薬や注入軟膏・坐薬を使用します。お風呂に入って温めるのも有効です。

硬化療法

パオスクレー(フェノール入りのアーモンドオイル)という薬液をイボ痔に注射し、静脈叢を硬くする治療法で、出血を止める効果があります。

ジオン注射硬化療法(ALTA)
ジオン注射硬化療法(ALTA)

新しい硬化療法に、ジオン注射硬化療法(ALTA)があります。これは、イボ痔、いわゆる痔核のなかでも「脱出を伴う内痔核」に対してジオン注という注射を痔核とその周囲に注入して痔を養っている栄養血管の血液量を減らし、さらに痔の中の血管を硬くして、弛んでしまった直腸粘膜部に癒着・固定させる方法です。注目されている硬化療法の一つで、手術でしか治せなかった進行した内痔核(3度)でも、治療効果が期待できます。肛門の痛みを感じない部分に注射するため、痔核を切り取る手術より痛みの少ないのが特徴です。局所麻酔下に行い、日帰り治療が可能です。

ALTA療法 注射の順番

  1. 痔核上側の粘膜下層に注射
  2. 痔核の真ん中の奥に注射
  3. 2番目の場所から少し注射器を引いて注射
  4. 痔核の一番下の部分に注射
ゴム輪結紮法

イボ痔を鉗子でつかみ、その根部を専用の輪ゴムでしばって壊死・脱落させる方法です。高齢者や高リスク者、寝たきりの方にも使用可能です。

手術療法

結紮切除術(けっさつせつじょじゅつ)
脱出したイボ痔を、根元から専用のはさみで切っていく方法です。

結紮切除術とALTA療法の併用療法
脱肛する部分が多く切除が必要な痔核には、結紮切除術を実施し、残りの比較的小さな痔核にはALTA療法を行います。こうして二つの治療法を組み合わせることで、安全かつ根治性を高める治療が可能になります。

PPH(procedure for prolapse and hemorrhoids)法
PPHという自動吻合器を使った痔核根治術で、直腸の粘膜3~4センチをPPHでリング状に切除・縫合する方法です。奥からの血流を遮断し、肛門から脱出したイボ痔をつり上げる効果があります。直腸の粘膜には痛みを感じる神経が無いため、切除・縫合しても痛みは無く、短い手術時間で済みます。

外痔核

外痔核は、肛門の歯状線の外に生じた痔核です。激しい運動をしたり、急に重いものを持ったりした後などに突然血の塊が肛門にでき、腫れて痛みます。薬で治りますが、大きくて痛みが強いものは切除するか、血の塊を取り除く必要があります。

裂肛・切れ痔(急性・慢性)

裂肛・切れ痔(急性・慢性)

便秘や下痢で肛門上皮が切れ、痛みや出血を伴います。急性裂肛と慢性裂肛があります。

急性裂肛

傷は浅く、排便時に痛みや出血を伴います。ほとんどは数日で回復します。

慢性裂肛

裂肛を繰り返すと傷が深くなり、潰瘍になります。痛みも持続し、傷の内側に肛門ポリープ、外側にイボを形成することがあります。

裂肛(切れ痔)について

痔瘻(じろう)

痔瘻(じろう)

直腸肛門周囲膿瘍(直腸肛門部とその周辺の皮下、粘膜下、筋間などに膿の溜まりができたものの総称)が自潰(はぜること)したり切開排膿されたりして瘻管(トンネルのようなもの)ができた症状を痔瘻と言います。
痔瘻には皮下痔瘻(1型)、筋間痔瘻(2型)、坐骨直腸窩痔瘻(3型)、骨盤直腸窩痔瘻(4型)の大きく分けて4タイプがあり、それぞれがさらに細分化されています。
痔瘻の治療は手術が基本であり、痔瘻の入り口である原発口の切除と感染の原因となった原発巣(肛門腺)の切除、そして適切なドレナージ(膿や浸出液などの排液が通る逃げ道)の作成が重要です。

痔ろうについての動画

痔瘻(じろう)について

肛門ポリープ

肛門縁から1~2センチくらい中へ入った内側に、肛門と直腸の境目があります。ここを「歯状線」と言います。
この部分は、ふつうの皮膚よりもややツヤがあり、白っぽく見えて、全周に細長い凹凸(肛門乳頭)が並んでいます。この歯状線より奥は、ピンク色をした直腸粘膜へと続いています。
肛門ポリープとは、この歯状線付近の移行上皮からできている肛門乳頭に発生する炎症性・線維性の肥厚、または硬いしこりのことです。
原因としては繰り返す下痢・便秘、裂肛、痔核、痔瘻などによる歯状線付近の慢性的な刺激や炎症と考えられています。
ポリープは粟粒大から親指大まであり、団子状、きのこ状などのほかに、ひもが付いたように長く伸びてくるものもあります(有茎性ポリープ)。
ひどくなると、排便のたびにポリープが脱出し、ポタポタと出血したり、痔も一緒に脱出したりすることがあります。
一般に排便後は、手で元に押し込めてやれば、一日無症状で過ごせます。
ポリープが大きいと、いつも便をしたいような感じが起こります。また、ポリープが出たり、これを手で押し込めたりしていると、肛門がかぶれて痒くなります。
若い女性が裂肛を長く繰り返していると、裂肛の奥にポリープができ、これが刺激となって裂肛が治らないために、さらにポリープが大きく育つという悪循環が見られるようになります。このような場合には早めにポリープを切除するか、しばってしまうかすると、裂肛は急速に治ってきます。

肛門ポリープの治療

これら肛門ポリープは大腸ポリープと異なって、がん化することはありません。一般に肛門ポリープの治療は外科的に行いますが、ポリープ単独の場合は、外科的処置によって簡単に切除できます。深い裂肛、痔核、痔瘻などの合併症がある場合は、根治手術が必要です。

肛門皮垂(スキンタグ)

肛門周囲にできた皮膚のたるみのことです。
多くが外痔核や裂孔などで一時的に肛門部が腫れ、その後、腫れが萎縮した後に、しわとなって残ったものです。
なかでも肛門前方にできるものは女性に特有で、出産後や裂肛が長い期間にわたり存在した時に生じます。
痔は皮膚の清潔を保ち、便通をコントロールするなど、保存的治療を行うことにより多くは症状が改善しますが、一度できてしまった皮垂は切除しなければ、消失することはありません。

肛門皮垂の治療

肛門皮垂は、放置しても構いません。しかし、肛門周囲に皮膚炎を起こし、痒みや痛みを生じる方がおられますし、美容的に気にする方も多く、こうした場合には手術を行います(日帰り手術が可能です)。

肛門皮垂(スキンタグ)について

肛門周囲皮膚炎

肛門周りの皮膚の炎症により、痒みやべとつき、浸出液によって下着が汚れるなどの症状が見られます。原因としては、度重なる肛門洗浄、アレルギー性疾患、真菌症(カンジダなど)、肛門疾患(痔核、裂肛、ポリープ、肛門皮垂)などが挙げられます。

肛門周囲皮膚炎の治療

多くの場合は、日常生活の改善と内服薬や軟膏(抗ヒスタミン軟膏やステロイド軟膏)による処置で治療できます。
原因が真菌(カビ)の場合は軟膏処置によって症状が悪化することがありますので、必ず真菌検査を行い(4~5日で結果が出ます)、真菌症の場合は抗真菌薬の軟膏を使用して治療します。

痔の日帰り手術

当院は、痔の日帰り手術が可能な肛門外科です。
短時間で終わる安全な手術ですので、安心して受けて頂くことができます。

日帰り手術が適応される場合

  • 術後に合併症が生じる可能性が低いと考えられる
  • 生活面での支障がなく、介護や介助の負担を増やさずに済む
  • 医療従事者から提案された場合、患者様が納得して協力する姿勢がある
  • 患者様が日帰り手術の内容を理解し、日帰り手術を望んでいる
  • 交通手段の確保を含めて、通院に支障がない

当院における痔の手術の流れ

術前検査

呼吸機能検査、血液検査、心電図検査などを実施します。

再診・手術説明

術前検査の結果とともに、手術について説明します。

手術の当日

手術をする日には、朝食を控えてください。

麻酔

術衣に着替えた患者様に、手術台の上で仰向けになって頂きます。モニターや酸素マスクを装着した後、患者様の身体を右向きにして全身麻酔(静脈麻酔)を行います。麻酔が効くまでにかかる時間は、10~15分程度です。
その後、手術部位に印をつけ、細い針を使って局所麻酔を行います。

手術

手術に必要な時間は30~60分です。手術が終わると、ほどなくして麻酔から覚めます。

手術後の安静

手術が終わったら、回復室に移動して安静にしてください。血圧などを定期的に確認します。
手術後およそ1時間で、食事や水分の摂取、トイレまでの歩行が可能です。
2時間ほど安静にして手術部位や全身に問題がないようであれば、帰宅可能です。

帰宅後

退院後の生活について、担当看護師が説明いたします。院長による診察を受けてから帰宅してください。
少なくとも翌朝までは自宅で安静にしてください。

手術の翌日

手術の翌日にはシャワーも可能です。仕事を再開できるのは、手術の翌々日からになります。

術後1週間まで

外来で手術部位の傷の状態を確認します。

特に問題がなければ、術後6~12週間で通院は終了です。

麻酔法

  1. 酸素マスクを装着して頂き、静脈への点滴で全身麻酔を行います。
  2. 手術部位に局所麻酔薬を注射します。
  3. 注射や手術の痛みを感じることはありません。
  4. 全身麻酔ですが、手術が終わるとすぐに目が覚めます。

痔核の手術を受けた際の注意事項

  • 手術の当日は、必ずベッドで横になり、安静にしてください。
  • 手術の翌日から入浴も可能です。
  • 排便後は、患部を強く拭かないようにします。
  • ウォシュレットを使用する場合、一番弱い設定にしておきます。時間は2~3秒にとどめ、軽く拭き取ってください。
  • アルコール分の含まれていないウェットティッシュを使用しても構いません。
  • 術後3~4週間ほど、ティッシュに黄色っぽい浸出液や血液がつくことがありますが、膿ではありません。
  • 手術部位が激しく痛むようであれば、我慢しないで痛み止めを飲んでください(1日5~6回まで)。
  • 個人差はありますが、少なくとも術後10日目頃までは、排便時や排便後に痛みがあります。痛みを和らげるには、次のような方法を試してみるとよいでしょう。
    • 排便の30分前を目安にして、痛み止めを飲む。
    • シャワーや入浴で手術部位を清潔にして温める。
  • できるだけ刺激の強い食べ物を控えるようにする以外、食事の制限はありません。
  • 術後1週間はアルコールも控えてください。
  • 軽い運動や自転車は術後2週間目から可能です。術後4週間が経過すれば、激しい運動もできます。
  • 術後6~12週で通院は終了し、1年後に再び受診してください。
  • 次のような症状が生じた場合は、速やかに当院に連絡して指示を仰いでください。
    • 下痢が続く
    • 激しい痛みが続く
    • 3日間続けて排便がなく、腹部や肛門が苦しい
    • 着衣を激しく汚す出血があり、治まらない(1%)

検査費用

肛門科診察 初診料+直腸鏡+処方箋 2,000円前後
初診料+直腸鏡+処方箋+カンジタ検査 2,600円前後
初診料+直腸鏡+処方箋+ヘルペス検査 3,000円前後
初診料+直腸鏡+処方箋+コンジローマ検査 6,500円前後
初診料+直腸鏡+処方箋+便の細菌検査 3,000円前後
初診料+直腸鏡+処方箋+切開排膿 9,500円前後